14.具体的な運転例と注意点について
電磁ブレーキ付きモータの運転について
電磁ブレーキ付きモータには、無励磁作動型の電磁ブレーキが採用されています。励磁コイルに電圧が印加されると、コイルスプリングに抗して電磁石にアーマチュアが吸引され、ブレーキが開放された状態となりモータ軸は回転自由となるタイプです。
逆に電圧が印加されていない状態の場合、アーマチュアがコイルスプリングによりブレーキハブに押し付けられ、結果モータ軸が固定されブレーキがはたらいた状態となります。
電磁ブレーキを動作させるには、インバータの動作と協調を取らないと、過電流などの保護機能が動作して、正常な運転ができない事態を生むことがあります。電磁ブレーキを正常に運転させるポイントとして、電磁ブレーキ用の電源は、インバータの出力電源ではなく、インバータの入力電源から結線する事が重要です。電磁ブレーキの電源結線は、インバータと電磁接触器(MC)の間で結線します。
また、電磁ブレーキを動作(電磁ブレーキの電源をOFFにする)させる時には、インバータの出力を瞬時に停止(遮断)する必要があります。
インバータの出力を瞬時に停止させるには、インバータのMRS信号端子とSD端子を短絡させる事でインバータの出力を瞬時に停止させる事が可能です。
防爆仕様モータの運転について
防爆仕様モータは、引火性ガスの環境下などで使用される特殊環境用のモータになります。危険度が高い環境であるため、法令で定めた検定制度があるのが特徴です。機器の選定、設置には次のような事項に留意する必要があります。
まず、モータとインバータを組み合わせて、労働省防爆検定を取得したものを使用します。この検定は、防爆構造電気機械器具について厚生労働大臣が定めた規格で、ただ一つ「電気機械器具防爆構造規格」(昭和44年労働省)告示第16号;以下「構造規格」)だけです。なお、既設の商用電源で運転している耐圧防爆モータや安全増防爆モータとインバータを組み合わせて運転する事はできません。
次に、安全増防爆モータは運転条件に厳しい制約条件があり、経済的にも高価なことが多いです。そのため、新規にインバータ駆動用として防爆検定を受けるのは、耐圧防爆モータを使用する事が推奨されます。また、インバータは防爆仕様ではないので、インバータの設置場所は非防爆環境にする事や、インバータのオプションで一部利用できないものもあるなどの制限がありますので注意が必要です。
インバータについても専用インバータの利用となるため、汎用インバータに比べて一部機能が異なります。
単相モータの運転について
単相モータはインバータでの運転はできません。産業専用に特化した単相仕様のインバータもありますが、汎用インバータではこのような機能は用意していないためです。また、単相モータは原理的に始動トルクが発生しないため、始動専用巻線(分相始動)やコンデンサを付加させて始動トルクを発生させる必要があります。
始動専用巻線モータには、始動後に専用巻線を切り離す遠心力スイッチが内蔵されています。インバータで運転させると、この遠心力スイッチが正しく動作せず、専用巻線の焼損を引き起こしてしまうのです。
分相始動式単相モータの場合、ローターはかご型を使います。巻線は単相の主巻線にプラス補助として始動用巻線を別に巻いてあり、その始動方法が特徴的です。連続運転用の磁界をつくるコイル(主コイル)とは別に始動の為だけのコイル(始動コイル)をステーター鉄心内に巻いてあり、始動コイルには直列にコンデンサを入れています。始動コイルは主コイルに対して90°空間的にずれた位置にあり、始動コイルに流れる電流はコンデンサを通す事で、回転磁界が発生します。主コイルは、回転を与えると回転し続けるので、補助巻線は必要がなくなるのも一つの特徴です。
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